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社会が求める環境配慮「デジタル領域の環境シフト」

デジタルネットワークを象徴する青と緑の光に包まれた若葉のイラスト。自然とテクノロジーが融合し、環境配慮とデジタル領域の調和を表現している。

はじめに:環境配慮への潮流

持続可能性やカーボンニュートラルへの関心が高まる中、社会全体で「環境配慮」を求める声が急速に強まっています。これまで製造業や物流業が中心と考えられてきた環境対応は、いまやデジタル領域にも波及しつつあります。
では、この潮流はウェブ構築や運用にどのような影響を与えていくのでしょうか。

案件選定の変化:「環境配慮」へシフト

近年、企業や団体の調達や事業活動では「環境配慮」を重視する傾向が鮮明になっています。従来は「コスト」「機能」「デザイン」が主要な比較要素でしたが、今後は「低炭素設計」や「アクセシビリティ」も前提条件として重視されると予測されます。

特にESGやCSRに積極的な企業、行政・自治体など公共性の高い法人では、調達段階において環境配慮を求める場面が増えていく可能性があります。

Hostingerが2024年に実施した米国調査によれば、インターネット利用者のうち28%が「強い環境配慮を持つ企業を支援したい」と回答し、35.4%が「環境に配慮したウェブサイトであれば購入意欲が高まる」と答えています。

これは、ウェブ領域における環境配慮が利用者の意思決定に影響を及ぼし始めていることを示しています。

公共調達における環境配慮設計

行政の入札要件では、すでに「グリーン購入法」に基づく環境基準や、JIS X 8341-3に基づくアクセシビリティ対応が必須化されています。これに続く形で、今後は「低炭素設計」や「環境配慮型ウェブ運用」が調達基準に含まれる可能性があります。

公共領域ではすでに環境対応が行動規範として浸透しており、デジタル分野に拡張されるのも時間の問題と考えられます。

ICT排出と気候変動への関心

The Shift Project(2019)は、ICT分野が世界の温室効果ガス排出の3.7%を占め、航空業界に匹敵すると報告しています。
さらに、一般的なウェブページでは、1PVあたり約1g前後の二酸化炭素が排出されるとされています。

補足:海外の動向

海外でも、ウェブの環境負荷に注目する動きが見られます。たとえば、リトアニア発のグローバルホスティング企業 Hostinger は、2023年に「Green Web Report」を公開し、ウェブ利用に伴う温室効果ガス排出量を数値やグラフで示しました。ICT分野のエネルギー消費や動画配信の環境負荷などを取り上げ、ユーザーの行動が排出量に直結する点をわかりやすく提示しています。

ただし、民間企業による調査であるため、データの独立性や網羅性には留意が必要です。それでも「ウェブが環境問題の一因になり得る」という事実を国際的に可視化する事例として、参考になる動きと言えるでしょう。

Z世代が企業に求める環境配慮

Deloitte Global (2023) の調査では、Z世代の75%が「企業は環境課題に真剣に取り組むべき」と回答しています。
購買や就職の判断においてもサステナビリティの有無が重視される傾向があり、デジタル活動における環境対応はブランドや人材確保にも直結するテーマになりつつあります。

我が国でも、複数の調査で日本のZ世代が環境配慮に高い意識を持っていることが明らかになっています。たとえば、アースデイ東京と株式会社メディアジーンの共同調査では、約7割のZ世代がサステナブルな消費行動に関心があると回答しています。

まとめ:環境配慮型ウェブは基準となる可能性がある

「環境配慮を前提にしたウェブ案件」は、いずれ当たり前の基準となる可能性があります。
公共調達での要件化、ICT排出への国際的関心、Z世代の意識変化といった複数の要素が重なり、デジタル領域での環境対応は不可避の課題になりつつあります。

本コラムでは、社会全体で高まる「環境配慮」の潮流について整理しました。
連載「脱炭素×サステナブルなウェブ運用のススメ(第3回)」では、実際にウェブサイトの排出量を測定して見えた課題と改善例を紹介し、より具体的な「低炭素化への道筋」を探っていく予定です。

参考文献・出典