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第2回「ウェブページの二酸化炭素排出量をどう測る?測定方法と見方」(連載:脱炭素×サステナブルなウェブ運用のススメ)

1.はじめに

第1回では、ウェブと二酸化炭素排出量の関係について解説しました。ウェブの運用にはホスティングサーバーの稼働が不可欠であり、ページへのアクセスごとに二酸化炭素が排出され、環境負荷の要因となっています。では、ウェブページの二酸化炭素排出量はどのように測定できるのでしょうか。

理論上は、以下の計算式で算出可能です。

ページ容量 × 二酸化炭素排出係数 ×(グリーンホスティング利用の有無による補正) = ページあたりの二酸化炭素排出量(gCO2)

しかし実際には、国や研究機関ごとに異なる算出係数が存在し、一般の運用担当者が正確に計算するのは容易ではありません。

そこで当社独自の無料ツール「GreenSyncWeb®CO2」を使えば、こうした複雑な計算を行わずとも、簡単に実測することが可能です。 本記事では、このツールを用いた測定方法と結果の見方について解説します。

2.GreenSyncWeb®CO2とは

ウェブサイトの二酸化炭素排出は、社会的にまだほとんど認知されていません。そのため、排出量を定量的に把握する仕組みも国内では限られています。GreenSyncWeb®CO2は、こうした状況の中で提供されている希少な測定ツールのひとつであり、ウェブの環境負荷を「見える化」する存在です。

当ツールは、Google Lighthouse API を用いて、ページ表示に必要な静的リソース(HTML・CSS・JavaScript・画像・フォントなど)の転送量を実測。このデータに基づき、通信量に応じた二酸化炭素排出量(gCO2)をページ単位で算出します。

主な特徴は次の5つです。

1.二酸化炭素排出量の測定

1回の閲覧あたりに排出される二酸化炭素量を算出します。

2.環境評価スコア(6段階)

A+〜Fの6段階で、ページの環境負荷をスコアリング評価します。

3.ページ容量の測定

HTML・CSS・JavaScript・画像などを含めたページ容量を可視化します。

4.グリーンホスティングの検出

再生可能エネルギーを使用しているホスティングかどうかを判定します。

5.年間換算での排出量表示

月間PVを入力すると、年間の二酸化炭素排出量・電力消費量、エアコン換算、さらにスギの木の年間吸収量を表示します。

3.測定方法(ステップ解説)

測定方法はとてもシンプルです。測定ページにURLを入力して、「測定する」ボタンをクリックするだけで、二酸化炭素排出量の測定結果が表示されます。

ステップ1

測定ページにURLを入力し、「測定する」をクリックします。

ステップ2

測定中はプログレスバーが表示されます。測定完了までしばらくお待ちください。

ステップ3

測定結果が表示されます。

ステップ4

ページ下部にスクロールすると、月間PVを入力できるフィールドが表示されます。

補足:GreenSyncWeb®CO2では、排出量は「g」で表示されます。これは「gCO2(グラム・二酸化炭素量)」を意味しています。

注記:測定できないケースについて
パスワード認証が必要なページやログイン専用のページ、動画配信サイト、またはデータ容量が非常に大きいページなどでは、計測が困難または不可能な場合があります。(測定できた場合でも、数値が必ずしも正確とは限りません。)

4.結果の見方(理解ポイント)

測定が完了すると、結果画面には以下の情報が表示されます。

  • 二酸化炭素排出量(gCO2)

    ページを1回閲覧したときに排出される二酸化炭素量です。数値が少ないほど環境負荷が低いことを意味します。

  • 環境評価スコア(A+〜F)

    サイトの環境負荷を6段階で評価した指標です。A+は卓越して優秀な低炭素設計。AやBであれば優良な低炭素設計となります。C以下の場合は改善余地が大きいといえます。

    評価ランク 排出量(g/PV) 評価の意味
    A+ 0.07以下 卓越して優秀な低炭素設計
    A 0.08〜0.15以下 非常に優良な低炭素設計
    B 0.16〜0.20以下 優良な低炭素設計
    CF 0.21〜0.34以上 負荷が高め/改善の余地あり
  • ページ容量(通信量)

    HTML、CSS、JavaScript、画像などを含めたページ全体のデータ量です。容量が大きいほど転送時の電力消費が増え、二酸化炭素排出量も増加します。

  • グリーンホスティングの有無

    使用しているサーバーが再生可能エネルギーを利用しているかどうかを判定します。サーバー側の選択も環境配慮の大切な要素です。

  • 平均的なページとの差

    一般的なページの二酸化炭素排出量(例:1.05g程度 当ツール基準)と比較して、どの程度環境負荷が少ないか/多いかを表示します。自社サイトの位置づけを把握する上で有効です。

  • 年間換算での排出量表示

    月間PVを入力すると、年間の二酸化炭素排出量・電力消費量、エアコン換算、さらにスギの木の年間吸収量に基づく換算本数が表示されます。サイト全体のインパクトを把握するのに役立ちます。

    また、これらの数値は ESG開示やCSRレポートに記載できる客観的な環境指標としても活用できます。社内の共有資料や外部への説明に使うことで、透明性と信頼性の向上につながります。

これらを組み合わせて確認することで、単に数値を知るだけでなく、自社サイトのどこに改善余地があるのかを直感的に把握できます。

5.ESG/CSR記載サンプル(GRI 305-3のScope3カテゴリ11に関する参考例)

今後拡大が予想される、ウェブサイト利用に伴う二酸化炭素排出量のScope3カテゴリ11への計上に関する記載例です。あくまで参考用のサンプルであり、実際のGRI報告に用いる場合は、第三者検証を含む全スコープの排出量算定が必要です。本サンプルはあくまで補助的な参考情報としてご覧ください。

Scope3カテゴリ 区分 指標 算定方法 年間実績(例) 備考
カテゴリ11(販売製品の使用) ウェブサイト利用 1PVあたり排出量 ページ容量実測 × 排出係数 0.08 gCO2/PV GreenSyncWeb®CO2測定値
年間PV(例) 前提条件 月間10万PV × 12か月 120万PV 実績に応じて変動
年間排出量 年間PV × gCO2/PV 96 kgCO2/年 前提:年間120万PV
スギの木換算 年間排出量 ÷ 8.8 kgCO2/本 約11本/年 参考値 補足的な参考情報

注記:

  • 「—」は該当なしを意味します。
  • 本表は GRI 305: Emissions 2016 に準拠するための算定表そのものではなく、Scope3カテゴリ11(ウェブサイト利用に伴う排出)の補足的な参考サンプルです。
  • 排出係数の出典や温室効果ガスの種類(CO2、CH4、N2O 等)の範囲は、報告書作成時に明示する必要があります。

補足:数百ページ規模など大規模サイト全体の二酸化炭素排出量については、個別ページの測定に加え、包括的な算定支援も別途対応可能です。

6.まとめ

本記事では、ウェブページの二酸化炭素排出量を測定する方法として、無料ツール「GreenSyncWeb®CO2」を紹介しました。理論式では複雑になりがちな排出量の算出も、ツールを使えばURLを入力するだけで数値やランクが表示され、環境負荷を直感的に把握できます。

本ツールで表示される主な情報は以下のとおりです。

  • ページ単位の二酸化炭素排出量
  • 環境評価スコア
  • ページ容量や平均値との差
  • グリーンホスティングの有無
  • 年間換算での排出量と、スギの木・エアコン換算

これらの多角的な視点から、自社サイトの現状を理解することができます。測定はゴールではなく、改善の第一歩です。本ツールが、継続的な改善や社内外への説明の一助となれば幸いです。

7.次回予告

次回(第3回)では、実際の測定結果をもとに「改善前」と「改善後」の具体的な事例を紹介します。不要なJavaScriptの削除や画像の最適化など、どのような工夫で二酸化炭素排出量を削減できるのかを解説。ビフォーアフターの実測値を用いて、その効果をわかりやすくお伝えします。

実際に測定してみたい方は当ツールをお試しください

GreenSyncWeb®CO2

参考文献・出典