ページの先頭

日本市場におけるウェブ最適化の二酸化炭素排出量削減効果とは? 実際に試算してみました

はじめに:日本市場における削減効果とは?

ウェブサイトの最適化によって、どれほどの二酸化炭素排出量を削減できるのでしょうか?
画像の軽量化やコードの整理、データ転送量の削減といった改善は、個々のページでは小さく見えても、利用が積み重なれば大きな差になる可能性があります。

本記事では、日本のインターネット利用者数や年間ページビュー数、ページ容量の代表値、最適化による削減率などの条件を設定し、日本市場全体における削減効果を試算してみました。ウェブ最適化が環境配慮の観点からどの程度の意味を持つのか、その規模感と意義を考えるための参考情報としてご覧ください。

結論:約60.3万トン CO2e(約79.0%削減)

最適化前:約76.3万トン − 最適化後:約16.0万トン = 約60.3万トン CO2e(約79.0%削減)

今回設定した条件では、ページ容量を2.86MBから0.6MBへ削減することで、二酸化炭素排出量を約79.0%削減できるという試算結果となりました。

では、この約60.3万トンの削減とは、実際どの程度の規模なのでしょうか?

日本の年間二酸化炭素排出量を約10億トンとした場合、約60.3万トンは全体の約0.06%に相当します。ウェブページ単位では小さな改善であっても、多数のサイトとページビューが積み重なることで、一定の削減効果につながる可能性があります。

なお、本試算は、グリーンホスティングによる補正を適用せず、各ページビューで対象となるデータ量が転送されるという簡易的な条件を設定したシナリオ試算です。実際の排出量は、キャッシュの利用状況、再訪問率、ホスティング環境、アクセス地域などによって変動します。
以下では、今回の試算の根拠や前提条件について解説します。

試算に用いた前提条件

本試算では、以下の前提条件に基づいて計算しています。ウェブページの二酸化炭素排出量の推計には、Sustainable Web Design Model Version 4(SWDM v4)の考え方を用い、グリーンホスティングによる補正を適用しない条件としています。

項目 値
日本のインターネット人口 約1億168万人 [1]
平均ページビュー数/日(1人) 約50PV [2]
年間ページビュー数(総計) 約1.8兆PV [3]
ページ容量(最適化前) 約2.86MB [4]
ページ容量(最適化後) 約0.6MB [5]
二酸化炭素排出量の推計方法 SWDM v4に基づく簡易試算 [6]
  1. 15歳以上の個人 約1億1974万人 × 普及率84.9% = 約1億168万人(出典:総務省「令和5年版 情報通信白書(2022年調査)」)。
  2. ニールセンやMMD研究所「スマートフォン利用に関する調査」などを参考に、スマートフォンとPCの利用状況をもとにした当社独自の推計です。
  3. 約1億168万人 × 50PV × 365日 = 約1.8兆PV。
  4. HTTP Archive「Web Almanac 2025」では、2025年のデスクトップ・ホームページの中央値は約2.86MBと報告されています。本試算では、この値を最適化前の代表値として使用しています。
  5. 0.6MBは、当社が環境配慮型ウェブサイトを構築・運用する際のページ容量の目標値として設定している水準です。当社の環境ポリシー「目標値:ページ容量600KB未満」もご覧ください。
  6. Sustainable Web Design Model Version 4(SWDM v4)では、データセンター、ネットワーク、ユーザーデバイスの運用時および機器製造等に伴う環境負荷を考慮します。本記事では、SWDM v4で示されているエネルギー強度の合計0.30kWh/GBと、世界平均の電力炭素強度494gCO2e/kWhを用い、1MBあたり約0.1482gCO2eとして簡易計算しています。

備考(試算の対象範囲について)

  • 本記事の数値は、日本国内のウェブ利用全体から直接測定した排出量ではなく、一定の条件を設定したシナリオ試算です。
  • ページ容量・転送データ量・CO2e排出量の試算は、主に一般的なウェブページ(HTML/CSS/画像/JavaScript等)を想定しており、動画配信サービス、大規模SPA(Single Page Application)、ストリーミングなどは対象としていません。
  • 年間ページビュー数は公開調査を参考にした当社独自の推計値であり、実際の日本国内の総ページビュー数を示す統計値ではありません。
  • 本試算では比較を分かりやすくするため、各ページビューで設定したページ容量が転送されるものとして計算しています。実際にはブラウザキャッシュや再訪問などによって転送量が減少する場合があります。
  • 実際の排出量は、CDN利用状況、キャッシュ制御、アクセス地域、画像形式の最適化(WebP/AVIF等)、ホスティングインフラのエネルギー源などによって変動します。

年間排出量の試算(最適化前)

これらの値を使い、まず、最適化前の二酸化炭素排出量を試算します。

最適化前:1ページあたりの排出量

2.86MB × 約0.1482g CO2e/MB = 約0.424g CO2e

最適化前:年間の日本市場全体のPV(ページビュー)ベースでの排出量

約0.424g × 1.8兆PV = 約0.763兆g = 約76.3万トン CO2e

年間排出量の試算(最適化後)

続いて、ページ容量を0.6MBまで削減した場合の二酸化炭素排出量を試算します。

最適化後:1ページあたりの排出量

0.6MB × 約0.1482g CO2e/MB = 約0.089g CO2e

最適化後:年間の日本市場全体のPV(ページビュー)ベースでの排出量

約0.089g × 1.8兆PV = 約0.160兆g = 約16.0万トン CO2e

最適化による削減効果

今回の条件では、ページ容量を2.86MBから0.6MBへ削減することにより、年間排出量の試算値は約76.3万トンから約16.0万トンとなります。差し引き約60.3万トン CO2e、約79.0%の削減に相当します。

最適化前:約76.3万トン − 最適化後:約16.0万トン = 約60.3万トン CO2e(約79.0%削減)

約60.3万トンは何に相当する?インパクト比較

では、約60.3万トン CO2eとは、実際どれほどの規模なのでしょうか? 以下は比較のための概算です。

杉の木で換算

杉の木1本が年間約8.8kgの二酸化炭素を吸収するとした場合、約6,850万本の年間吸収量に相当します。

自動車で換算

一般的な自動車1台が年間に排出する二酸化炭素量を約2トンとした場合、約30万台分の年間排出量に相当します。

エアコンで換算

家庭用エアコン1台の年間排出量を約320kg(0.32トン)とした場合、約188万台分の年間排出量に相当します。

日本全体との比較

日本の年間二酸化炭素排出量を約10億トンとした場合、約60.3万トンは全体の約0.06%に相当します。個々のウェブページの削減量は小さくても、多数のサイトやページビューに広がることで一定の削減効果につながる可能性があります。

これらはあくまで、本記事で設定した条件に基づく規模感の比較です。実際のウェブ利用による排出量は、ページ構成やアクセス方法、キャッシュ、ホスティング環境などによって異なります。

30%削減シナリオ

今回の試算では、ページ容量を2.86MBから0.6MBまで削減した場合を想定しました。一方で、ページ容量を30%削減し、約2.0MBまで軽量化するケースでも、同じ条件で単純計算すると年間で約22.9万トン CO2eの削減に相当します。

約76.3万トン × 30% = 約22.9万トン CO2e

まとめ:最適化の社会的意義

今回の試算から、ウェブページのデータ転送量を削減することは、二酸化炭素排出量の削減につながる可能性があることが確認できます。

自動車や家電などでエネルギー効率の改善が進められているのと同様に、ウェブサイトでも画像の最適化、不要なコードやスクリプトの削減、適切なキャッシュ、軽量な設計などによって、ページ表示に伴うデータ転送量を抑えることができます。

行政・自治体や企業のウェブ調達においても、アクセシビリティや表示速度、セキュリティなどに加えて、ページ容量やデータ転送量といった環境性能を設計・運用上の指標として取り入れることは、今後検討すべき視点のひとつと考えられます。

当社では、ウェブサイトの最適化をはじめ、人と環境にやさしい低炭素ウェブ構築を推進しています。二酸化炭素排出量の少ないウェブサイトの構築をご検討中のご担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

自社サイトの環境負荷を測定してみませんか

自社サイトの環境負荷が気になる方や、何から始めればよいか分からない方は、まずGreenSyncWeb®CO2の概要をご覧ください。ウェブページ単位の二酸化炭素排出量を可視化することで、現状把握と改善の第一歩につなげられます。

参考文献・出典