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最終回「脱炭素×サステナブルなウェブ運用の連載を振り返って」

ウェブサイトにも環境負荷があることをご存じでしょうか。

本連載「脱炭素×サステナブルなウェブ運用」では、ウェブサイトの利用に伴う二酸化炭素(CO2)排出量を出発点に、その測定や削減、設計・運用、アクセシビリティとの関係、企業活動における位置づけまで、さまざまな角度から考えてきました。

ウェブサイトのCO2排出量を推計するモデルや係数は、技術や研究の進展に伴って更新されています。そのため、同じページでも、測定時期や使用するモデルによって推計値が異なる場合があります。

大切なのは、一つの数値そのものではなく、ウェブサイトにも環境負荷があり、それを把握し、改善していくという考え方です。
最終回となる今回は、これまでの内容を振り返りながら、7回の連載を通してお伝えしてきたことを整理します。

1. 出発点は「ウェブにも環境負荷がある」と知ること

ウェブサイトは、紙や製品のように目に見える資源を消費しているようには見えません。

しかし、ウェブページを表示するためには、データセンターや通信ネットワーク、パソコンやスマートフォンなどの利用端末で電力が使われています。その電力の供給方法によっては、CO2排出にもつながります。

連載の第1回では、こうしたウェブサイトとCO2排出量の関係を取り上げました。

第1回「今こそ知りたい、ウェブと二酸化炭素排出量の関係」

デジタルは無形だからこそ、その環境負荷も見えにくいものです。
まず「ウェブにも環境負荷がある」と知ること。そこが、サステナブルなウェブ運用を考える最初の一歩です。

2. 測ることは、改善のための出発点

環境負荷を知った次に必要になるのが、「測る」ことです。

ページ容量やデータ転送量、CO2排出量の推計値などを確認することで、それまで見えなかったウェブサイトの状態を把握しやすくなります。

第2回「ウェブページの二酸化炭素排出量をどう測る?測定方法と見方」

ただし、測定そのものが目的ではありません。

ページ容量が大きいのはなぜか。画像が重いのか、外部スクリプトが多いのか、不要なデータが読み込まれていないか。
数値を手がかりに原因を確認し、改善し、その結果を再び確認することが重要です。

本連載では、画像、CSSやJavaScript、フォント、外部リソース、キャッシュなど、さまざまな改善方法についても紹介してきました。
測定と改善を繰り返すことが、環境負荷を継続的に減らしていく基本になります。

第3回「測定結果をもとに取り組むCO2削減。画像最適化による改善効果」

3. 「軽くすること」は環境負荷の低減だけではない

ウェブページのデータ量を減らすことは、CO2排出量の削減だけを目的とした取り組みではありません。
画像やプログラムを最適化し、必要な情報や機能を整理することは、表示速度や使いやすさの改善にもつながります。

また、必要以上に複雑な構造や機能を避けるという考え方は、アクセシビリティとも共通する部分があります。
環境に配慮することと、人にとって使いやすいウェブサイトをつくることは、別々の取り組みとは限りません。

本連載では、環境配慮とアクセシビリティを、公開直前に対応するのではなく、企画・設計など早い段階から組み込む「シフトレフト」の考え方についても取り上げました。

第4回「サステナブルなサイト設計:軽量化(低炭素化)とウェブアクセシビリティ」

本当に必要な情報や機能を見極め、できるだけシンプルに届ける。それは、環境にも利用者にも配慮したウェブサイトにつながります。

4. サステナブルなウェブは「つくって終わり」ではない

ウェブサイトは、公開した時点で完成するものではありません。

記事や画像の追加、解析ツールや外部サービスの導入などによって、ページのデータ量や構成は少しずつ変化していきます。
公開時には軽量だったウェブサイトも、運用を続けるうちに多くのデータや機能を抱えることがあります。

そのため、環境負荷を抑えるには、制作時の最適化だけでなく、公開後の運用も重要です。
定期的に状態を確認し、不要になったデータや機能を見直し、必要に応じて改善する。

サステナブルなウェブとは、特定の技術を導入することではなく、環境負荷を意識しながら継続的に改善していく運用の考え方でもあります。

5. ウェブの環境配慮を、企業活動の一部として考える

連載の後半では、ウェブサイトの環境負荷を、ウェブ制作だけの問題ではなく、企業活動との関係からも考えてきました。

企業には、温室効果ガス排出量の削減や、サプライチェーンを含めた環境負荷への対応が求められるようになっています。
現時点で、ウェブサイト単位のCO2排出量が、企業の環境情報開示における一般的な必須項目として位置づけられているわけではありません。

第5回「ESGやCSR文脈におけるウェブの二酸化炭素排出量の位置づけ」

一方で、事業活動のデジタル化が進むなか、デジタル領域についても環境負荷を把握し、改善していくという考え方は重要になっています。

自社サイトがどのような環境で配信され、どの程度のデータを扱い、どのような改善を行っているのか。
こうした取り組みを継続的に把握することは、企業として環境への取り組みを説明する際の具体的な材料にもなります。

6. 連載を通して見えてきた、サステナブルなウェブ運用

これまでの連載を振り返ると、サステナブルなウェブ運用は、大きく5つの考え方に整理できます。

知る

ウェブサイトにも、データセンター、通信ネットワーク、利用端末を通じた環境負荷があることを理解する。

測る

ページ容量やデータ転送量、CO2排出量の推計値などを確認し、現在の状態を把握する。

減らす

画像やプログラム、外部リソースなどを見直し、不要なデータ転送を減らす。

設計・運用する

環境負荷とアクセシビリティを設計段階から考え、公開後も状態を確認しながら改善を続ける。

伝える

実施した取り組みや測定結果、測定条件などを適切に可視化し、企業として説明できる状態にする。

最初からすべてを変える必要はありません。
まず現在の状態を知り、できるところから改善し、その結果を確認する。こうした積み重ねが、持続可能なウェブ運用につながります。

第6回「A評価を目指せ!基本チェックから始める省エネ改善」

7. ウェブから、持続可能なデジタルへ

この連載を始めた当初、中心にあった問いは「ウェブサイトのCO2排出量をどう減らすか」でした。

しかし、7回にわたって考えてきたのは、CO2の数値だけではありません。
環境への配慮、アクセシビリティ、使いやすさ、そして継続的な運用。これらを別々に考えるのではなく、ウェブサイトの設計・運用全体として捉えることが、持続可能なデジタルにつながります。

第7回「ウェブのCO2削減とサステナブル運用 脱炭素時代のGreenSyncWeb®が目指す次の標準」

ウェブサイトは、多くの企業が日常的に運用している身近なデジタル資産です。だからこそ、デジタル領域の脱炭素も、まずウェブから始めることができます。

ウェブからはじめる脱炭素。

本連載が、自社のウェブサイトと環境負荷について考え、持続可能なデジタルへ取り組むきっかけになれば幸いです。