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続・ウェブの環境性能が「調達条件」になる時代へ―グリーン公共調達から考える日本の可能性

前回の記事「ウェブの環境性能が『調達条件』になる時代へ―フランスRGESNと海外の低炭素ウェブ事例」では、フランスの公共施設Les Champs Libresで、ウェブサイトの調達仕様に「データ転送量500KB以下」「30リクエスト以下」といった具体的な環境性能が設定されていた事例を紹介しました。

今回は、ICT機器やソフトウェア、データセンターなどにも広がるグリーン公共調達(GPP:Green Public Procurement)の動きから、ウェブサイトの環境性能を公共調達に取り入れる可能性を考えます。

1. グリーン公共調達とは―環境性能を調達に組み込む仕組み

グリーン公共調達(GPP)は、公的機関が製品やサービスを調達する際に、価格や機能だけでなく、環境性能も考慮する考え方です。EUでは、さまざまな製品やサービスについてGPP基準が整備されています。

日本にもグリーン購入法があり、国等の機関には調達方針を作成し、その方針に基づいて環境物品等を調達する仕組みがあります。つまり、環境性能を調達時に考慮する仕組みは、日本にもすでに制度として存在しています。

では、この考え方はデジタルサービスにも広がっているのでしょうか。

2. EU・ドイツではデジタルもグリーン公共調達の対象に

EUでは、ICT機器に加え、データセンター、サーバールーム、クラウドサービスもGPPの対象となっています。

ドイツ連邦環境庁(UBA)でも、ソフトウェア、サーバー・データストレージ製品、コンピューター、データセンターなど、幅広いデジタル関連分野について環境配慮型調達の基準やガイドが整備されています。

ここから分かるのは、デジタル領域を公共調達における環境配慮の対象とすること自体は、すでに特別な考え方ではないということです。

ウェブサイトも、ソフトウェア、データ通信、サーバー、クラウドなどによって提供されるデジタルサービスの一つです。

3. CO2排出量だけではなく「改善できる指標」をどう仕様化するか

ドイツ連邦環境庁(UBA)は、カーボンフットプリント(CFP)をGPPや環境ラベルに組み込む際の課題として、データ同士の比較が難しいことや、CFPを算定していること自体が製品の改善を意味するわけではないという趣旨を指摘しています。

これは、ウェブサイトの環境性能を考える場合にも重要な視点です。
1ページ閲覧当たりのCO2排出量推計値は有用ですが、算定モデルによって結果が異なる場合があります。そのため、

  • ページ容量
  • データ転送量
  • HTTPリクエスト数
  • 画像や動画の容量
  • 外部スクリプト
  • キャッシュ設定
  • ホスティング環境

など、発注者と制作者が共通して測定・確認でき、改善につなげられる技術項目を組み合わせることが重要です。Les Champs Libresで「500KB以下・30リクエスト以下」が仕様化されていたことは、その具体例といえます。

4. 日本で必要なのは「使える環境仕様」かもしれない

制度があっても、調達担当者が環境要件を実際の仕様書へ落とし込めなければ運用は難しくなります。
海外では、EUのGPPトレーニングキットや、ノルウェーの「基準ウィザード」など、調達担当者が環境要件を仕様や契約条件へ落とし込むための支援が整備されています。

一方、日本でも、グリーン購入を進めるための支援として、「調達方針策定のための手順書やマニュアル」や「仕様書例・入札書式例」が求められています。

ウェブサイトについても、

  • ページ容量
  • リクエスト数
  • ホスティング環境
  • 公開後の測定・改善方法

などを標準的な仕様例として整理できれば、発注者側も環境性能を要求しやすくなります。重要なのは、一律に厳しい数値を課すことではなく、発注者と制作者が共有でき、測定・確認・改善できる基準を整備することではないでしょうか。

5. まとめ:サステナビリティウェブを「調達できる品質」へ

前回の記事では、フランスの公共調達において、ウェブサイトの環境性能が具体的な数値として仕様化されている事例を紹介しました。

今回、グリーン公共調達という広い視点から見ると、EUやドイツではデジタル領域も環境配慮型調達の対象となり、日本にもグリーン購入法などの制度的な基盤があることが分かります。

もちろん、現時点で日本の公共調達において、ウェブサイトのページ容量やCO2排出量を標準的な調達条件とする仕組みが確立しているわけではありません。

しかし、環境性能を定義し、測定し、仕様化し、検証し、継続的に改善する。

この考え方をウェブサイトにも取り入れることは、海外で進むグリーン公共調達の流れとも整合します。

サステナビリティウェブを、「調達できる品質」として整理していくことが、これから重要になるのではないでしょうか。